短歌の用語について


短歌にはたくさんの用語があります。
歌会や評論、一首評などでは普通に使われるこれらですが、最初はよくわからないと思います。
ここでは主に、短歌関連でのみ使われる言葉についてまとめました。
はじめて歌会に行く前に、さらっと読んでおくと楽かも知れません。
全部暗記する必要はありませんが、どれも使用頻度が高いので、すぐに覚えられると思います。


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・定型(ていけい)
短歌の決まったかたちのことです。つまり5・7・5・7・7の詩形です。(要調査)

だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け(枡野浩一/『てのりくじら』)


・破調(はちょう)
定型に収まっていない/定型を無視した短歌のことです。31音より多かったり少なかったりします。

小さなものを売る仕事がしたかった彼女は小さなものを売る仕事につき、それは宝石ではなく (西崎憲/『ビットとデシベル』)


・字余り・字足らず
句の音数が余っている(多い)/足りない(少ない)ことを指します。

夕映えのなかラジオだけ響きたる閉店間際のキング理髪店 (鯨井可菜子/『タンジブル』)


・散文的(さんぶんてき)
説明的であること。または「AがBしてCした」というように文章っぽいこと。

北極のパン屋さんには夏という商品があるらしいと聞いた (笹井宏之/『ひとさらい』)


・一字あけ・分かち書き(わかちがき)
句と句の間が一字あいていること。意味上の切れをあらわしたり、間を持たせたり、効果はさまざま。
また、すべての句の間に一字あけがあることを、分かち書きといいます。

水鳥が羽を動かす場面のみ無音の映画 これはかなしみ (石川美南/『裏島』)


・(作中)主体・動作主体
行為を行う人のことです。
たとえば、その歌に出てくる「わたし・ぼく」が主体とされることが多いです。
また、歌の中である動作を行う人のことを動作主体と呼びます。


・相聞歌(そうもんか)
好きな人に送ったり、送りあったりする歌のことを指します。恋愛の歌であることが多いです。


・折句(おりく)
句の頭文字を取ると、別の言葉が浮かび上がる歌のことです。
『伊勢物語』での在原業平が詠んだ「かきつばた」の歌が有名です。
人の名前や地名などが詠まれることが多いです。

から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ (在原業平/『伊勢物語』)


・文語(ぶんご)・口語(こうご)・口語旧かな遣い
文語とは書き言葉、口語とは話し言葉で、旧かな遣いは表記です。
古文で習った言葉が出てきたら文語、ふだん使っている言葉で書かれていたら口語の短歌です。(?)
旧かな遣いは、「ゐ、ゑ」などの表記です。
表記は文語のようでも、口に出したら口語なのが、口語旧仮名遣いの歌です。
例を挙げます。

口語》 花束を抱えて乗ってきた人のためにみんなでつくる空間 (木下龍也/『つむじ風、ここにあります』)

文語》 さくら花ちる夢なれば単独の鹿あらはれて花びらを食む (小中英之/『翼鏡』)

旧かな遣い》 枇杷の実をいくつか食べてかへりゆくきみもわが死の外側にゐる (中城ふみ子/『花の原型』)
       (びわのみをいくつかたべてかえりゆく きみもわがしのそとがわにいる)

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